日本臨床外科学会雑誌
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門脈血栓症をきたした胆石胆嚢炎の1切除例
森本 修邦石井 孝明篠崎 幸司川崎 靖仁大鶴 実安田 青兒
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キーワード: 急性胆嚢炎, 門脈血栓症
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2006 年 67 巻 1 号 p. 152-157

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抄録

症例は52歳,男性.心窩部痛を主訴に当院受診.腹部超音波検査にて胆石胆嚢炎と診断され,抗生剤にて症状軽快するも3カ月後に再度腹痛を認めたため,当院受診.血液検査にてビリルビンの上昇を認め,腹部超音波検査にて総胆管結石と肝内胆管,総胆管の拡張を認めたため,閉塞性黄疸の診断にて緊急入院となった.第11病日のERCPにて総胆管内に結石を複数認めたためESTを施行した.また第9病日の造影腹部CTにて右門脈内の塞栓と肝門部胆管周囲に腫瘍陰影を認め,肝門部胆管癌と腫瘍塞栓が疑われたため,血管造影を施行したところ,胆嚢動脈の拡張やencasementを認めず,ドップラーエコーにて門脈塞栓内に血流を認めなかったため,胆石胆嚢炎による門脈内血栓症が考えられた.そのため第29病日に再度腹部CTを施行したところ,右門脈内の血栓と胆嚢壁の縮小化を認めたため,胆石胆嚢炎の診断にて第32病日に開腹胆嚢摘出術を施行した.

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