67 巻 (2006) 1 号 p. 167-171
症例は54歳,女性.統合失調症にて近医通院加療中, ALPの軽度上昇を認め,平成10年10月前医へ紹介となる.腹部CT検査所見で総胆管と膵管の拡張がみられたが合流部は不明瞭であった. MRI検査所見で,主膵管内部に腫瘍性病変が疑われた.血管造影検査所見で膵鉤部に腫瘍濃染を認め,膵悪性腫瘍を疑い,膵頭十二指腸切除術が施行された.術中所見では膵管に異常は認めず,総胆管の軽度拡張を認めた.リンパ節の腫大はみられなかった.再建はPD IIIa (今永変法)にて行った.肉眼的に総胆管の軽度拡張がみられた.十二指腸の口側断端部では,漿膜側に5mm大の顆粒細胞腫を認めた.腫瘍濃染を示した膵鉤部の病変では,漿膜下層にリンパ管腫を認めた.乳頭部では, Oddi括約筋の膵臓側の膵管内で異型のない重層扁平上皮が肥厚し,一部で乳頭状に増生し,扁平上皮化生と考えられた.現在に至るまで,再発の徴候はない.