日本臨床外科学会雑誌
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絞扼性イレウスを合併した小腸型Chilaiditi症候群の1例
槙野 好成藤井 敏之
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2006 年 67 巻 1 号 p. 89-92

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抄録

消化管の一部が肝と右横隔膜の間に嵌入した病態はChilaiditi症候群と言われ,嵌入臓器のほとんどが結腸である.われわれは絞扼性イレウスを合併し手術を要した比較的稀な小腸型Chilaiditi症候群の1例を術前に診断し治療する経験を得た.症例は85歳の女性で右季肋部痛を主訴に受診,腹部単純X線, CTで小腸型Chilaiditi症候群と診断し第3病日に手術を行った.開腹所見では,肝と横隔膜間に形成された線維性索状物の間に小腸が嵌入した絞扼性イレウスであった.手術では嵌入小腸を整復したが,切除は必要としなかった.自験例ではCTのwindow条件を変えることで小腸のKerckring襞壁を確認し,非侵襲的に嵌入臓器の同定が可能であった.小腸型Chilaiditi症候群は,索状物による絞扼性イレウスを合併しやすく,手術を念頭においた慎重な経過観察が必要である.

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