日本臨床外科学会雑誌
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胃癌乳腺転移の1例
真田 克也柴田 稔長内 孝之杉原 健一
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2006 年 67 巻 2 号 p. 325-329

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抄録

症例は44歳,女性. 2週間前から右乳房痛を自覚し来院.右乳房CED領域に10cm程の境界不明瞭な腫瘤を触知.マンモグラフィにてカテゴリー3,乳房超音波検査では硬癌を疑った.穿刺吸引細胞診でclass IIIと腺癌を否定できなかったため切開生検施行.病理組織診断はリンパ管侵襲が著明な腺癌で,印環細胞の像を示すものが目立った,左乳房にも同様の超音波像を示す腫瘤を認め,病理学的所見からも他の原発癌,特に胃癌の乳腺転移が疑われたため,上部消化管内視鏡検査を施行.胃印環細胞癌と診断された.同時に施行した腹部CT検査では両側付属器腫瘍,多量の腹水が見つかり,胃癌の両側乳腺,両側付属器転移,腹膜播種と診断した.化学療法を施行したが奏効せず,当院受診後約5カ月で亡くなった.

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