日本臨床外科学会雑誌
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早期大腸癌に併発した肝炎症性偽腫瘍の1切除例
久下 博之森田 敏裕中島 祥介
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2006 年 67 巻 2 号 p. 402-407

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抄録

症例は71歳,男性.全身倦怠感を主訴に入院となった.入院時,発熱・腹痛などの症状はなく,血液検査でも炎症反応上昇を認めなかった. HCV抗体陽性のため,定期検診目的に施行された腹部CT検査で肝前区域に低吸収域を認めた.腹部血管造影とMRI検査を行い肝内胆管癌と診断した.転移性肝癌との鑑別目的に消化管精査を行ったところ,注腸検査でS状結腸ポリープを認め,生検で腺癌が検出された.早期S状結腸癌を合併した肝内胆管癌(転移性肝癌の可能性も否定できず)と術前診断し,肝部分切除術, S状結腸部分切除術を行った.病理組織検査で肝はIPT, 大腸癌はm癌と診断した.悪性疾患が併存,または既往を有する肝ITPの診断には慎重を要すると考え,文献的考察を加え報告する.

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