日本臨床外科学会雑誌
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子宮広間膜異常裂孔ヘルニアの1手術例
河野 文彰松田 俊太郎種子田 優司市成 秀樹峯 一彦柴田 紘一郎
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2006 年 67 巻 2 号 p. 448-451

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抄録

子宮広間膜ヘルニアは,子宮広間膜に生じた異常裂孔に起因する内ヘルニアであり非常に稀な疾患である.今回イレウス症状にて発症した子宮広間膜ヘルニアの1手術例を経験したので報告する.症例は52歳,女性.突然発症した激しい腹痛を主訴に当科受診し緊急入院となった.腹部単純X線およびCTにて骨盤内に拡張した小腸と腹水を認め,腹水穿刺にて血性腹水を認めたため,絞扼性イレウスの診断にて緊急手術を施行した.開腹すると骨盤底は拡張した小腸と中等量の腹水を認めた.さらに検索すると左子宮広間膜に母指頭大の異常裂孔を認め,その裂孔に回腸末端部から約50cmにわたり回腸が嵌頓していた.子宮広間膜ヘルニア嵌頓の診断にて嵌頓した回腸を還納し裂孔部を縫合閉鎖し手術を終了した.本疾患の本邦報告例を集計しその臨床学的特徴を考察した.

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