日本臨床外科学会雑誌
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摘出可能であった下大静脈腫瘍栓を伴う巨大副腎皮質癌の1例
調 憲脇山 茂樹祇園 智信徳永 正則近藤 潤也長家 尚
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2006 年 67 巻 2 号 p. 452-456

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抄録

下大静脈腫瘍栓を伴う巨大副腎皮質癌を安全に切除できたので報告する.症例は36歳,男性.径18cmの右副腎腫瘍と肝部下大静脈の腫瘍栓を認めた.手術所見で巨大な後腹膜腫瘍は肝右葉,下大静脈,右腎,膵頭部の周囲臓器を強く圧排していたが,容易に剥離可能であった.肝右葉切除を行い,肝部下大静脈を露出した後,人工心肺は使用せず,下大静脈の8分間のクランプ下に腫瘍栓を摘出した.術中の経食道エコーによる腫瘍栓のモニタリングは極めて有用であった.術後ミトタン,エトポシド,ドキソルピシン,シスプラチンによる補助化学療法を行い,術後1年無再発生存中である.文献的考察を加え,報告する.

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