日本臨床外科学会雑誌
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抗リン脂質抗体症候群に合併した腸間膜血腫の1例
添田 暢俊星野 豊大谷 聡木暮 道彦寺島 雅典後藤 満一
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2006 年 67 巻 2 号 p. 457-461

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抄録

症例は72歳,男性. 2日前から持続する腹痛および嘔吐を主訴に当院受診.血液検査にて貧血を認め,腹部造影CT検査では腸間膜血腫および腹腔内出血が疑われた.腹部外傷の既往は認めなかった.同日は全身状態が安定していたため経過観察入院とした.翌日,貧血の進行を認め,腹部血管造影検査を施行した.中結腸動脈左枝に狭窄・蛇行・造影剤の血管外漏出を認めたため,腸間膜血腫の診断にて同日緊急手術を施行した.横行結腸間膜内に手拳大の血腫を認め,中結腸動脈左枝に広汎な血栓を認めた.動脈性に出血していた中結腸動脈左枝の辺縁動脈を止血し,横行結腸切除を施行した.病理組織学的検査にて中結腸動脈左枝の辺縁動脈に連続した血栓を認めた.術後精査にて抗カルジオリピン抗体が2回陽性となり,抗リン脂質抗体症候群に合併した腸間膜血腫と診断された.現在,血栓症の再発予防としてアスピリンを内服中であるが,再発を認めていない.

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