67 巻 (2006) 6 号 p. 1438-1441
症例は78歳の男性で排尿時下腹部痛にて当院泌尿器科を受診した.右鼠経部の膨隆を認め鼠径ヘルニアと診断された. USにて前立腺肥大と胆嚢結石を認めた.右鼠径ヘルニアと胆嚢結石の治療目的で外科に紹介された.手術は腹腔鏡下胆嚢摘出術および右鼠径ヘルニア根治術を施行した.まず,大腿ヘルニアを認めた.さらに,腹膜外から鼠径管に滑脱する軟部組織を認め,膀胱造影により膀胱ヘルニアと診断された.滑脱膀胱は手拳大と大きく還納は不可能であったため,部分切除しMesh Plug法にて修復した.還納可能な膀胱ヘルニアであれば膀胱損傷を防ぐために,術前に確定診断をつけることは重要である.そのためには,鼠径ヘルニア,大腿ヘルニアの症例を診療する際は,本症の存在を念頭におき,排尿症状について詳細に問診することや, USにてヘルニア内容を確認する必要があると思われた.