日本臨床外科学会雑誌
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内視鏡的乳頭切開術により著明な全身性皮下気腫を呈した1例
松田 明久古谷 政一清水 康仁沖野 哲也新井 政男田尻 孝
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キーワード: 十二指腸穿孔, 皮下気腫
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2006 年 67 巻 8 号 p. 1958-1962

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抄録
内視鏡的乳頭切開術(EST)により著明な全身性皮下気腫を呈した1例を経験したので報告する.症例は56歳,女性で総胆管結石による急性胆管炎,急性胆嚢炎の診断で入院となった.除石目的のEST後に後腹膜気腫,縦隔気腫および頸部から大腿にわたる著明な皮下気腫を認め,傍乳頭十二指腸の後腹膜への穿孔を疑い緊急手術を行った.しかし癒着が高度であり,穿孔部の同定には至らず,経過観察としたが約1週間で気腫は改善した.
本邦においてESTの偶発症として十二指腸穿孔により全身性皮下気腫にまで進展した症例の報告はない. ERCPおよびESTは侵襲的手技であり,偶発症の発生を予防するためには,膵炎,出血だけでなく十二指腸穿孔の可能性も念頭に置き慎重な操作を心がけることが肝要であると思われた.
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