日本臨床外科学会雑誌
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横行結腸切除後,十二指腸閉塞を合併した腹部大動脈瘤の1例
稲荷 均孟 真軽部 義久松川 博史深堀 道子清水 哲
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2006 年 67 巻 9 号 p. 2026-2030

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抄録

腹部大動脈瘤による十二指腸閉塞は稀である.今回,われわれは横行結腸切除術後,腹部大動脈瘤による十二指腸閉塞をきたした症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例86歳,女性.精査で横行結腸腫瘤,腹部大動脈瘤,右総腸骨動脈瘤と診断した.また腹部造影CT検査では腎動脈下の腹部大動脈瘤に十二指腸水平脚が圧排されているのを認めた.悪性腫瘍が疑われた横行結腸腫瘍の手術を先行させ,腹部大動脈瘤,総腸骨動脈瘤の手術は二期的に行う方針とした.しかし横行結腸切除術後, 6日目にイレウスを発症し,腹部造影CT検査で,腹部大動脈瘤と腹壁に十二指腸水平脚が前後から挟まれ閉塞していた.十二指腸閉塞解除目的に腹部大動脈瘤,総腸骨動脈瘤切除人工血管置換術を施行した.術後,十二指腸閉塞は改善した.

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