日本臨床外科学会雑誌
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FDG-PET CTにて遠隔リンパ節転移が疑われた小型肺腺癌の1例
大成 亮次石本 達郎渡邉 雄介日山 享士西亀 正之
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2006 年 67 巻 9 号 p. 2043-2047

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抄録

症例は70歳,男性.嗄声を主訴に近医耳鼻科を受診し,左反回神経麻痺と診断された.精査加療目的で当院を紹介され受診した.頭頸部の視触診ならびに頸部超音波検査,上部消化管内視鏡検査では異常なかった.胸部CTで右肺S4bに1.1×1.0cm大の結節影を認めたが,肺門および縦隔リンパ節の有意な腫大はなかった.頸部CTで気管に接して0.8cm大の結節影を2個認めた. FDG-PETCTで肺および頸部の結節影に一致して異常集積を認めたため,いずれも生検の適応と判断した.肺結節はVATS肺生検で乳頭状腺癌と診断されたため,右肺中葉切除 (ND2a) 施行したが,肺門および縦隔リンパ節に転移はなかった. 2個の頸部腫瘤は生検でいずれも肺癌のリンパ節転移と診断された. FDG-PETCTは結節性病変の質的診断においてだけでなく,遠隔リンパ節転移の同定という局在診断においても有用であった.

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