日本臨床外科学会雑誌
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皮膚転移を契機に診断された早期胃癌術後再発の1例
原田 栄二郎榎 忠彦野島 真治濱野 公一
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2006 年 67 巻 9 号 p. 2061-2065

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抄録

内臓悪性腫瘍の皮膚転移は比較的稀であり,一般に終末期患者に認められることが多い.今回われわれは,早期胃癌術後17カ月目に皮膚転移により初めて再発を指摘された1症例を経験した.症例は78歳,女性.初回手術は噴門直下の胃癌に対して,胃全摘出術を施行した.病理組織ではpapillary adenocarcinoma (sm2, ly2, v1, n2, H0, P0, M0: stage2) であった.術後補助化学療法としてTegafur/Uracil 300mg/bodyを投与していたが,術後17カ月目に右前胸部の多発皮膚結節を主訴に受診した.皮膚生検ではリンパ管内に腫瘍塞栓像を認め,胃癌の皮膚転移と診断した.診断後は化学療法を施行したが奏効せず,皮膚転移診断から3カ月後に死亡した.原発巣の病理組織はpapillary adenocarcinomaであり深達度smであったが,その細胞学的特性からリンパ行性に上行性・逆行性に右前胸部皮膚に着床したと考えられた.

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