日本臨床外科学会雑誌
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術前診断した胃原発小細胞癌の1例
柴田 裕中川 康彦小玉 雅志南條 博
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キーワード: , 小細胞癌, 胃原発腫瘍
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2006 年 67 巻 9 号 p. 2074-2078

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抄録

胃原発の小細胞癌は稀な腫瘍であり,一般型腺癌に比べ転移および浸潤傾向が強く予後不良である.今回われわれは胃原発小細胞癌と術前診断し,手術を施行した1例を経験したので報告する.症例は85歳の女性.平成17年2月,心窩部痛を主訴に受診,上部内視鏡検査で胃体上部に2型病変を認めた.同部位の生検および免疫組織学的検査で,胃原発の小細胞癌と術前診断し,平成17年3月手術を施行した.開腹所見は, T2, N0, H0, P0, M0, StageIBで,胃全摘・D2郭清を施行した.切除標本で病変は36×36mmの2型腫瘍で,割面では粘膜下腫瘍様に増殖していた.病理診断は, small cell car-cinoma, medullary type, INFβ, T2(MP), 1y2, v3, nl, PM(-), DM(-), Stage IIであった.免疫組織学的にCD56, NSE, synaptophysin, chromogranin Aが強陽性を示した.術後化学療法は年齢を考慮して施行しなかった.術後10カ月目に多発性肝転移再発が確認されたが,現在外来にて経過観察中である.

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