日本臨床外科学会雑誌
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痔瘻内に播種再発をきたしたS状結腸癌の1例
村田 年弘荒田 尚中川 仁志田中屋 宏爾金川 泰一朗竹内 仁司
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キーワード: 転移性痔瘻癌
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2006 年 67 巻 9 号 p. 2127-2131

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抄録

症例は61歳,男性. 60歳時, S状結腸癌,肝転移,胆嚢結石症の診断にて, S状結腸切除術,肝部分切除術,胆嚢摘出術を施行された.術後5カ月目に50歳時より繰り返していた肛門部痛を主訴に近医を受診,肛門周囲膿瘍の診断にて切開排膿を行われた.壊死組織の一部を病理検索したところadenocarcinomaと診断され,精査加療目的に当科紹介となった.肛門部には9時方向に不整な皮膚潰瘍,発赤腫脹を伴った鶏卵大の腫瘤を認めた.S状結腸癌の痔瘻内転移を考え手術を行った.手術は肛門周囲の皮膚の発赤部位も含め,腹会陰式直腸切断術を行った.肛門部の皮膚の欠損は大殿筋皮弁にて再建を行った.切除標本の病理組織所見では,痔瘻の腫瘍はS状結腸と同一の組織型であり, S状結腸癌の痔瘻内再発と考えられた. S状結腸癌の痔瘻内への転移は稀であり検討を加え報告する.

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