67 巻 (2006) 9 号 p. 2207-2210
症例は94歳,女性.嘔吐と腹部膨満を主訴に来院.血液検査で軽度の炎症所見と画像検査で小腸の拡張に加え腸管壁の肥厚を認めた.また来院時よりショック状態であり急性腹症の診断のもと緊急開腹術を施行した.手術所見ではTreitz靭帯より50cmの空腸から約150cmに渡って壊死しており,空腸壊死部を全切除し残存回腸と側々吻合術を施行した.病理組織所見では壊死部腸管周囲血管内に血栓やフィブリノイド変性はなく血管炎や腸間膜動・静脈血栓症は否定的で非閉塞性腸間膜虚血症(non-occlusive mesenteric ischemia;以下NOMI)と診断した.術後は敗血症性ショック,多臓器不全の診断にて人工呼吸管理に加え,エンドトキシン吸着療法(PMX-DHP),血液濾過透析(HDF)の集中治療を行った.その後順調に回復し,術後第7病日より食事を開始,第48病日に退院した.