1992 年 33 巻 9 号 p. 1199-1203
小児期血液疾患を中心に,赤血球亜鉛プロトポルフィリン/ヘム比(ZPP)を測定した。疾患児201名の検討では,ZPPは鉄欠乏診断パラメータとして敏感度,特異度ともに優れていた。疾患児と健康児における,その有用性には差があるように思われた。鉄欠乏性貧血診断時のZPPは全例(26名),200μmol/mol heme以上の高値であったが,鉄剤治療により低下傾向をとり,その正常化にはおよそ3∼4カ月を要した。潜在性鉄欠乏症5例のうち1例を除いて,ZPPは正常であった。その他の疾患におけるZPPの検討では,鉛中毒,溶血性貧血,再生不良性貧血,急性白血病初発時,寛解導入時,などで高値を示した。鉄欠乏症を除外し,ヘマトクリット補正後のZPPによる検討でも傾向は同様で,各種貧血の中に,ferrochelatase活性が低下する病態が潜むことが推測された。