臨床血液
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症例
慢性骨髄性白血病リンパ芽球性急性転化の寛解導入後に,Philadelphia染色体の消失した1例
長藤 宏司岩切 龍一宮本 敏浩岡村 秀樹横田 英介松本 勲
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1992 年 33 巻 9 号 p. 1226-1230

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抄録

症例は58歳の男性で,発熱を主訴として1988年7月入院。入院時,脾腫はなく,末梢血で白血球数の増加と幼若顆粒球の出現,好中球アルカリフォスファターゼ活性低下,骨髄過形成特に顆粒球系過形成,骨髄の染色体分析では46, XY, t(9;22)(q34;11)の核型100%等より慢性骨髄性白血病(CML)と診断された。インターフェロンにより良好な血液学的コントロールが可能であった。Ph1クローンの減少は見られなかった。1990年3月にCD10陽性のリンパ芽球性急性転化を起こし,染色体分析で,45, X, -Y, t(9;22)(q34;q11), +1, -8と付加的異常をみとめた。5月1日よりvincristine 0.6 mg×4日,pirarubicin 15 mg×4日,dexamethasone 40 mg×4日を投与したところ,寛解が得られた。10月2日の染色体分析は,正常核型とPh1のモザイク,12月14日の染色体分析は正常核型のみとなり,骨髄細胞のM-bcr再構成も認められなかった。CMLの急性転化後に化学療法によりPh1クローンの消失した報告はなく,まれな症例と思われた。

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© 1992 一般社団法人 日本血液学会
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