1992 年 33 巻 9 号 p. 1242-1247
症例は,発熱・咳・頭痛を主訴に入院した21歳女性。臨床所見としては,肝脾腫・貧血・白血球減少および肝機能障害が認められた。以前に,全身性エリテマトーデス(SLE)の診断を受けていたので,当初SLEの増悪期を疑った。しかし,入院時の検査で,EBウィルスを含む数種類のウィルスの抗体価の上昇があり,また骨髄所見で,マクロファージによる血球貪食像が観察されたことから,Virus-associated hemophagocytic syndrome (VAHS)と診断した。まず,プレドニソロンの投与を行ったが,反応は認められなかった。そこで次に,γ-グロブリンの投与を行ったところ,臨床症状の著明な改善が見られた。本例は,ステロイドとγ-グロブリンの併用が有効であったことから,成人例のVAHSには,本治療法を試みる価値があるものと思われる。