抄録
6;9転座を示した急性白血病の2例を報告し,既報の31例と併せて文献的考察を加えた。症例1, 34歳女性。AML-M1と診断,染色体分析にてt(6;9)(p23;q34)を認めた。BHAC-DMP療法を2コース施行し完全寛解を得た。1年9カ月後に死亡した。症例2, 46歳男性。肺炎,肝障害で入院。RAEBと診断,染色体分析にてt(6;9)(p23;q34)を認めた。3カ月後に急性白血病に移行し,同時に右下腿に白血病細胞の浸潤を伴う広範な皮膚潰瘍が出現した。Ara-C少量療法を4コース行ったが寛解に至らず,続いて行った2コースのVP-16少量療法にて完全寛解となった。4カ月後に再発し敗血症で死亡した。当科の症例と併せた33例の検討では,M1 4例,M2 13例,M4 9例,RAEB 6例 急性骨髄線維症1例である。骨髄好塩基球の増加を認めた例は24例中14例である。初回寛解導入に成功した例は32例中17例であり,平均生存期間は10カ月である。