臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例
Fanconi症候群を合併したIgG-κ型多発性骨髄腫の1例
坂上 慎二中田 圭造長田 博山口 潤
著者情報
ジャーナル 認証あり

1994 年 35 巻 8 号 p. 786-791

詳細
抄録
Fanconi症候群は,近位尿細管における多彩な再吸収障害を特徴とし,原発性のほか,さまざまな疾患に合併してみられることがある。今回,われわれは多発性骨髄腫に合併した,Fanconi症候群の1症例を経験した。症例は,62歳の女性。血清蛋白高値,免疫電気泳動でIgG-κ型M蛋白を認め,尿中Bence Jones蛋白陽性であった。骨髄中に異型性のある形質細胞の増加があり,多発性骨髄腫と診断した。腎性糖尿および,腎からの喪失による低リン血症,低カリウム血症,汎アミノ酸尿と代謝性アシドーシスを認め,Fanconi症候群と診断した。化学療法(MP間欠療法)後,血清IgGの減少,尿糖減少,血清K値改善を認めた。
著者関連情報
© 1994 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top