臨床血液
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症例報告
急性骨髄性白血病を発症したLoeys-Dietz症候群
冨樫 庸介迫田 寛人菅原 浩之浅越 康助松澤 佑次
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2008 年 49 巻 8 号 p. 664-667

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抄録

症例は54歳男性。既往歴,家族歴,臨床所見及び遺伝子変異よりLoeys-Dietz症候群と診断されていた。易疲労を契機に病院を受診,末梢血で貧血,血小板減少,芽球の存在を指摘され,骨髄検査で芽球を31.4%認め,peroxidase染色陽性,esterase染色陽性であった。さらに染色体検査ではt(11;19)(q23;p13.1), RT-PCRでMLL遺伝子異常を認め,11q23 (MLL)異常を有する急性骨髄性白血病(M4)と診断した。Loeys-Dietz症候群とはTGF-beta受容体I又はII遺伝子変異が原因のMarfan症候群類似の先天性結合組織病である。またTGFbetaは正常上皮細胞の増殖を抑制し,アポトーシスを誘導する癌抑制因子としても知られている。そこでTGF-beta受容体変異によるLoeys-Dietz症候群と悪性腫瘍との関連性についても若干の考察を加えた。

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© 2008 一般社団法人 日本血液学会
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