臨床血液
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症例報告
リン酸フルダラビンが有効であったT細胞性前リンパ球性白血病
前田 明則岩井 一也石橋 孝文
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2009 年 50 巻 8 号 p. 658-662

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抄録

症例は79歳女性。労作時の息切れを主訴に2006年12月当科入院となった。肝脾腫,貧血(Hb 4.9 g/dl), 白血球増多(WBC 27,200/μl)を認め,末梢血中および骨髄に多数の異常リンパ球を認めた。成熟リンパ球に比し核網はやや繊細で,明瞭な核小体を有するものもあった。CD2, 3, 4, 5, 7, 38, 52が陽性で,CD8, 25は陰性であり,T細胞性前リンパ球性白血病(T-cell prolymphocytic leukemia; T-PLL)と診断した。Cyclophosphamideによる治療を開始したが無顆粒球症のため継続困難であり,2007年2月よりリン酸フルダラビンによる治療を開始した。反応は良好であり赤血球輸血依存からの離脱が可能であった。2007年10月,大量消化管出血のため死亡したが,原疾患のコントロールは良好であり,この稀な疾患に対して現在施行可能な治療を考える上で重要と思われ,報告した。

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© 2009 一般社団法人 日本血液学会
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