臨床血液
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症例報告
細胞表面抗原に基づく治療方法の選択が奏功した急性混合性白血病
高崎 啓孝立花 崇孝田中 正嗣丸田 壱郎石ヶ坪 良明金森 平和
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2010 年 51 巻 5 号 p. 339-344

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抄録

症例は47歳,男性。2009年6月に全身倦怠感を主訴に近医を受診した。末梢血に芽球を認め,急性白血病が疑われ,当科に紹介された。骨髄検査でミエロペルオキシダーゼ染色(MPO)陽性,エステラーゼ染色陰性の芽球を認めた。Flow cytometry (FCM)検査による細胞表面抗原はCD2, cyCD3, CD5, TdT, CD13が陽性,染色体分析は46,XY[18/20], 46,XY,t(1;11)(q21;p15)[1/20], 47,XY,+11[1/20]であった。また,左胸水貯留を認めたため,胸腔穿刺を行い,髄外浸潤と診断した。以上より,Mixed phenotype acute leukemia, T/myeloid, NOSと診断した。ALLに準じた治療で寛解導入療法を行ったが,CD13, CD33, MPOを発現している芽球の残存を認め,AMLに準じた治療で再寛解導入療法を行ったところ,完全寛解を得た。地固め療法後に同種骨髄移植を予定している。急性混合性白血病は稀な疾患群で標準的治療法はないが,本例では白血病細胞の表面抗原検査に基づいた治療選択が有用であった。

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© 2010 一般社団法人 日本血液学会
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