臨床血液
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症例報告
顆粒リンパ球増多症に続発した急性単芽球性白血病
糸永 英弘福島 卓也田口 潤今西 大介今泉 芳孝波多 智子塚崎 邦弘宮崎 泰司
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2011 年 52 巻 12 号 p. 1870-1875

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抄録

顆粒リンパ球増多症(GLPD)は悪性腫瘍に合併することが知られている。今回GLPDを経過観察していた際に,急性単芽球性白血病(AMoL)を発症した症例を経験した。症例は82歳の男性。2006年12月に貧血を契機としてGLPDの診断となった。経過観察中の2007年5月に頚部リンパ節腫脹と末梢血に芽球の出現を認めた。末梢血単核球とリンパ節のTCR遺伝子再構成の検討でクローン性細胞増殖を認めず,芽球の表面抗原がCD13,CD64陽性で,血清・尿リゾチーム値が上昇していたことから,AMoLと診断した。本例ではGLPD診断時の骨髄クロットで少数のCD34陽性細胞の集簇を認め,既に発症初期のAMoLが存在し,発症初期のAMoLに対する反応としてGLPDが生じていた可能性も考えられる。
GLPDを診断した際には急性骨髄性白血病の合併も考慮し,慎重な経過観察を行う必要がある。

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© 2011 一般社団法人 日本血液学会
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