抄録
これまで,多発性骨髄腫における骨病変の予防や治療にはビスホスホネートであるゾレドロン酸が用いられてきた。一方,receptor activator of nuclear factor-κB ligand (RANKL)抗体であるデノスマブも使用可能となったが,両者の使い分けに関しては不明な点が多い。当科において前者から後者へ切り替えを行った多発性骨髄腫10例を後方視的に検討した。観察項目は骨吸収マーカー,骨形成マーカー,及び補正カルシウム(Ca)値やM蛋白とし,切り替え前後の値を比較した。骨吸収マーカーは切り替え後に有意な低下を認めた。一方,骨形成マーカーに上昇は認めなかった。切り替えに際し重篤な低Ca血症は出現しなかった。1例において切り替え後にM蛋白の上昇を認め,ゾレドロン酸の再開によって横ばいとなった。切り替えにより破骨細胞の更なる抑制が期待できるが,原病増悪の可能性に注意すべきと考えられた。