2015 年 56 巻 11 号 p. 2351-2356
症例:69歳男性。2008年11月,貧血にて近医を受診したところ,原発性マクログロブリン血症(WM)と診断された。R-CHOP療法を施行され,血清IgM値は6,215 mg/dlから1,000 mg/dl台まで低下,以降2,000 mg/dl弱で推移した。2011年11月,視力障害と羞明が出現し,頭部MRIで左視神経腫大と視神経鞘の造影効果があり,脊髄液中リンパ球にκ/λの偏りをみとめたため,WMの中枢神経浸潤(Bing-Neel syndrome)と診断された。R-MPV療法7クール施行され,症状軽快したためPRで経過観察となった。2014年5月,血清IgM値は3,081 mg/dlと再上昇し全身性リンパ節腫大を認めたため,鼠径部リンパ節生検を施行しDLBCLの病理所見を得た。ASO-PCR法を用いたクロナリティー解析によりWMからDLBCLへの形質転換と診断した。持続する中枢神経浸潤を伴ったWMに発症したDLBCL例は希少であり,文献的考察を加えて報告する。