臨床血液
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Symposium 11
わが国における節外性NK/T細胞リンパ腫の治療開発
山口 素子
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2015 年 56 巻 6 号 p. 639-644

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抄録

節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型(extranodal NK/T-cell lymphoma, nasal type; ENKL)はわが国の全悪性リンパ腫の3%未満である。2つの臨床試験の結果により日本のENKL治療は過去10年間で大きく進歩した。日本臨床腫瘍研究グループは限局期例を対象として同時併用化学放射線療法の第I/II相試験(JCOG0211-DI)を実施した。RT-2/3DeVIC療法の5年全生存割合は70%と良好で,有害事象は許容範囲内であった。NK腫瘍研究会はアジアの研究者と共同で,初発IV期・初回治療後再発・治療抵抗性ENKLに対するSMILE療法の臨床試験(SMILE-PI & PII)を行い,第II相試験の評価可能38例におけるSMILE療法2コースの奏効割合は79%であった。造血器腫瘍診療ガイドライン(2013)は,未治療IE期と頸部リンパ節浸潤のIIE期ENKLに対してはRT-2/3DeVIC療法を,そのほかのENKLではSMILE療法などL-asparaginaseを含む化学療法を推奨治療とした。これら新世代治療の実態把握のための大規模後方視的研究が進行中である。ENKLのより良い初回治療の開発には,放射線腫瘍医と血液腫瘍医の緊密な協同と国際共同研究が鍵である。

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© 2015 一般社団法人 日本血液学会
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