臨床血液
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Symposium 1
Tax特異的TCR遺伝子導入細胞によるATLに対する細胞免疫療法の開発
田中 ゆきえ神田 善伸
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2015 年 56 巻 7 号 p. 815-824

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抄録

ATLはHTLV-I感染を原因とする予後不良の造血器腫瘍である。そのHTLV-IがコードするTaxは宿主細胞の異常増殖に関わる重要な転写制御因子である一方で,CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)の主要標的抗原でもある。近年,同種造血幹細胞移植がATLの治癒が期待できる治療法として認識され,移植後GVHDを発症した患者で再発率が下がる事から,Tax特異的CTLを主とした抗腫瘍効果の存在が示唆されている。そこで,移植前後のHLA-A24+ ATL患者のTax特異的CTLのTCRレパトア解析を単細胞レベルで行ったところ,Tax特異的CTLにおいて特徴的なアミノ酸配列(PDR)が異患者間,または同一患者移植前後で保存されている事が判明した。移植後長期生存者のモニタリングでは,PDR配列陽性CTL (PDR+CTL)が選択的に増殖している事も判明した。実際,PDR+CTLはTax認識能に長け,患者正常細胞を攻撃する事なくHTLV-I感染細胞だけを攻撃したことから,現在,Tax特異的PDR+TCR遺伝子導入細胞を作製し,ATLに対する新規免疫療法の開発を行っている。

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© 2015 一般社団法人 日本血液学会
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