2015 年 56 巻 7 号 p. 877-882
日本におけるフィラデルフィア染色体陰性骨髄増殖性腫瘍の診断の現状と問題点を明らかにするために,著者らが収集した骨髄増殖性腫瘍疑い1,081症例の臨床情報を後方視的に解析した。WHO2008診断基準に基づき,真性赤血球増加症101例,本態性血小板血症179例,原発性骨髄線維症36例,骨髄増殖性腫瘍分類不能型45例,骨髄異形成症候群4例の診断を確定した。診断不確定716例中235例で,JAK2, CALR, MPL遺伝子変異のいずれかが検出された。その中の156例を追跡調査したところ,全例で骨髄検査が,88症例でBCR-ABL1検査が未施行であり,これらのデータの欠落が診断確定に至らない主な理由であった。骨髄増殖性腫瘍は疾患ごとに予後や治療方針が異なるため,遺伝子変異解析に加えて診断確定の必須項目である骨髄検査とBCR-ABL1検査によって厳密な鑑別診断を行うことが重要であることを再認識する必要がある。