臨床血液
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Symposium 8
CD5陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
―分子基盤に基づく治療戦略―
宮﨑 香奈
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2015 年 56 巻 8 号 p. 1038-1044

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抄録

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma, DLBCL)の免疫組織化学的サブグループの一つであるCD5+ DLBCLは,診断時年齢中央値は67歳と高齢者に多く,予後不良因子を高率に有し,rituximab導入後も予後不良である。予後不良性の最大の原因として,rituximab導入後も中枢神経系再発/増悪割合が診断後2年時点で13%と高いことが挙げられ,その浸潤部位は80%の症例で脳実質内である。BCL2蛋白の陽性率は90%と高く,cyclin D2蛋白も98%と高い割合を示す。また自験例の解析ではP糖蛋白の陽性率が59%と高い。遺伝子発現プロファイリングの結果,CD5+ DLBCLではほとんどの症例がactivated B cell-like (ABC) DLBCLに分類され,このことは免疫組織化学的所見,Array CGHの解析結果と一致する。現在CD5+ DLBCLに特化した初回治療法を開発するため,従来のR-CHOP療法に改良を加えたdose-adjusted EPOCH-R療法と中枢神経系浸潤予防として大量methotrexate療法を組み合わせた治療法の多施設共同第II相試験がわが国で進行中である。

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© 2015 一般社団法人 日本血液学会
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