臨床血液
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54 (EL-58)
原発性免疫不全症と血液学
金兼 弘和
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2016 年 57 巻 10 号 p. 2275-2284

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抄録

原発性免疫不全症(primary immunodeficiency disease, PID)とは免疫担当細胞の内因的欠陥による免疫機能の破綻を来し,易感染性を大きな特徴とするが,自己免疫疾患や悪性腫瘍の合併率が高いことも特徴の一つである。PIDのほとんどは生殖細胞変異による単一遺伝子病であり,原因遺伝子によって免疫系のみならず血液系の分化に異常を来すこともまれではない。血球貪食による汎血球減少,好中球減少,血小板減少,自己免疫性血球減少を合併するPIDがいくつか知られている。また血液細胞の形態異常を合併するPIDも存在する。一方,血液・悪性腫瘍は体細胞変異で生じ,遺伝性はないのがほとんどであり,PIDとは対比的である。しかしながら近年の遺伝学的解析の進歩によって,同じ遺伝子の変異によっても時に血液・悪性腫瘍を発症したり,PIDを発症したりすることがわかってきた。PIDと血液・悪性腫瘍は排他的なものではなく,相補的な存在として,広い視野を持って考えていくべきである。

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© 2016 一般社団法人 日本血液学会
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