2016 年 57 巻 11 号 p. 2365-2372
CD19に対するキメラ抗原受容体を発現させた遺伝子改変T細胞が再発・難治性のB細胞性腫瘍に対して有効であることが注目を集めている。2011年にCLLをはじめとした進行の遅い腫瘍のおよそ半数に有効であることが報告された。2012年にはB-NHLのおよそ8割に対しても同様に有効であることが報告された。2013年には治療が最も難しいと考えられていたB-ALLのおよそ9割に劇的な効果が報告された。つい最近では,通常CD19を発現していない多発性骨髄種に対しても自家移植と併用すると分子生物学的寛解を期待できる治療であることが報告された。一方で,サイトカイン放出症候群と中枢神経毒性は重篤な副作用として認識されている。本邦での臨床試験は昨年始まったばかりであるが,この分野の大きなブレークスルーになると期待されている新規治療法である。