臨床血液
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症例報告
血小板輸血によるアナフィラキシーを契機に診断された先天性ハプトグロビン欠損症
安藤 純増田 安土飯塚 和秀落合 友則高久 智生大澤 俊也嶋田 英子渡辺 嘉久小松 則夫大坂 顯通
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2016 年 57 巻 12 号 p. 2507-2511

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抄録

十二指腸がんで紹介された77歳の男性。内視鏡的粘膜切除術後に穿孔し,出血性ショック,腹膜炎,播種性血管内凝固を合併し,赤血球製剤,新鮮凍結血漿(FFP),アルブミン製剤,免疫グロブリン製剤等を治療に使用した。その後,血小板減少症に対し濃厚血小板の輸血を開始した直後に,蕁麻疹,血圧低下,呼吸困難が出現し,アナフィラキシー・ショックを発症した。輸血副作用の精査を行い,患者血清のハプトグロビン(Hp)値は検出限界以下,抗Hp抗体陽性,遺伝子解析の結果より先天性Hp欠損症と診断した。その後の輸血療法は,洗浄血小板製剤を使用することで副作用を認めなかった。Hp欠損症の患者に対してFFPを輸血する場合には,Hp欠損症ドナー由来のFFPを使用することが可能である。血小板製剤に関しては,洗浄血小板製剤を使用する必要があるが,輸血部門が設置されていない医療機関では,あらかじめ血液センターと協議しておく必要がある。

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© 2016 一般社団法人 日本血液学会
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