2016 年 57 巻 2 号 p. 147-155
慢性骨髄単球性白血病(CMML)は持続的な単球増加と骨髄系細胞の異形成を特徴とする造血幹細胞由来のクローン性骨髄系造血器腫瘍で,骨髄異形成症候群と骨髄増殖性腫瘍の性質を併せ持っている。その臨床病態は多彩で,90%以上の症例で遺伝子異常を認めるもののCMML病型を規定するような特異的な遺伝子異常はなく,他の骨髄系造血器腫瘍と同じである。その中でASXL1変異は独立した予後不良因子であり,さらにCMML病型が規定され発症・進展していく遺伝子変異構築が明らかになって分子病態の解明が進んだ。また臨床面では,新たな診断方法の確立,予後予測システムへの分子異常の組み込みなどが試みられ,分子病態や治療効果判定の国際統一基準が策定されるなど,臨床分野での報告が相次いでいる。現在,予後予測システムが乱立している状況であるが,治療に関する臨床研究結果の報告も蓄積されたことから,国際予後予測システムに基づいた治療法の確立が期待されている。