抄録
悪性リンパ腫には多様な組織型が含まれており,各病型によって病因・病態・臨床経過が異なる。今世紀に入り,革新的な研究手法の発展によって悪性リンパ腫の分子病態に対する理解は飛躍的に深まってきている。次世代シークエンサーによる網羅的解析によって,疾患特異的な遺伝子異常,エピゲノム変化やがん化に関わるシグナル経路が解明され,治療標的となる分子の同定,創薬研究開発によって悪性リンパ腫の治療戦略は大きな変遷をとげつつある。疾患の分子病態および各薬剤の特徴を踏まえた治療の最適化およびバイオマーカーなどを用いた個別化治療によって,今後さらにリンパ腫の治療体系の整備が進むことが期待される。