2017 年 58 巻 10 号 p. 1828-1837
シーケンス技術の進歩により,骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes, MDS)において高頻度に変異する遺伝子が多数発見されてきた。それらMDSのドライバー遺伝子は,それぞれ固有のタイミングで段階的に獲得されることが明らかとなった。たとえば,DDX41などの変異は,MDSの発症するはるか以前に胚細胞に既に認められる。さらに,高齢者の非血液疾患の血液中にはDNMT3A/TET2などの体細胞変異を持つクローン性造血が認められ,変異は将来の血液疾患の危険因子となる。ひとたびMDSを発症した場合,最も予後と関係するのが二次性白血病への進行である。2,000例以上のMDS症例の変異情報を解析すると,白血病への進展と関連するNRAS/FLT3などのタイプ1変異と,低リスクから高リスクMDSへの進展に関連するRUNX1/TP53などのタイプ2変異が獲得されることが明らかとなった。このように,MDSのドライバー変異は,ヒトの一生に渡ってそれぞれのタイミングで胚細胞,正常造血細胞,MDS細胞に段階的に獲得され,発症・進行に関与する。