2017 年 58 巻 10 号 p. 1884-1894
急性骨髄性白血病(AML)の臨床および基礎研究は,今日まで腫瘍学研究を牽引してきたが,AML治療はここ40年間大きな治療進歩が認められていない。初回寛解導入療法ではAML全症例に画一的‘7+3'療法が標準である。寛解後療法は,染色体分析と極少数の遺伝子変異解析の結果に基づき,予後良好・中間・不良群に分類し,化学療法または同種移植を選択している。近年,多数のAML症例で臨床データに紐付けされたAMLサンプルを用いて膨大な遺伝子解析が進み,AML発症原因となる分子標的治療が開発されている。さらに初診時に迅速かつ網羅的に遺伝子解析を行い,遺伝子変異機能種類別に層別化して,寛解導入療法から各々の分子標的薬を加えるアンブレラ試験が開始された。AMLにおいても“one-size-fits-all therapy”から,“personalized therapy”への転換期を迎えつつある。