臨床血液
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16 (EL1-5)
CMLの分子病態と治療
木村 晋也
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2017 年 58 巻 10 号 p. 1920-1930

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抄録

ABLチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)メシル酸イマチニブが登場し,慢性骨髄性白血病(CML)の治療は劇的な進歩を遂げた。第2(ニロチニブ,ダサチニブ,ボスチニブ)および第3世代(ポナチニブ)のTKIsも臨床で使用できるようになり,さらに治療成績は向上してきた。そして慢性期CMLは10年生存率が90%を超え,ほぼ死なない病気となった。さらにSTIMやDADIなどの臨床試験によって,ある一定数のCML患者は,安全にTKIを中止できることも分かってきた。しかしいまだ全てのCML患者,特に移行期や急性期の患者を全て救命できるわけではなく,造血幹細胞移植の必要性も残されている。次世代シークエンス技術などによって,CML発症原因や,移行期・急性期への進展の分子病態もより詳細に検討できるようになってきた。病態解明に伴い,より多くの新規薬剤も開発されるようになり,CMLは今後さらなる予後の改善が期待できる。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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