臨床血液
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42 (SEL2-8)
iPS細胞を用いた血液製剤の開発と法整備
杉本 直志江藤 浩之
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2017 年 58 巻 10 号 p. 2150-2159

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抄録

iPS細胞からの血液製剤の製造は,ドナーに依存しない供給や遺伝子改変の易操作性によって,現行の血液製剤を補完・代替することが見込まれる。赤血球は酸素運搬,血小板は止血作用にそれぞれ必須な血球成分であり,輸血療法は重度の貧血および血小板減少に対して確立した医療となっている。しかし献血由来製剤に付随する需給不一致や同種免疫反応,感染症などの課題は完全には解決しておらず,高齢社会に伴う献血ドナー不足も予測されている。iPS細胞からの赤血球の製造は成人型形質への分化や大量製造にまだ課題を残しているが,血小板製剤は高増殖性の巨核球株や新型バイオリアクター,新規化合物の開発により質量ともに臨床応用レベルに達しつつある。臨床応用を見据えた品質ガイドライン作りも進められているiPS細胞由来血液製剤は,造腫瘍性の懸念が低い一方で需要は大きいことから,iPS細胞医療の普及の先例となることも期待される。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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