臨床血液
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症例報告
Lineage switch後にHLA半合致移植で長期寛解を得た治療抵抗性先天性白血病
古舘 和季沖本 由理安藤 久美子種山 雄一落合 秀匡角田 治美
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2017 年 58 巻 11 号 p. 2243-2249

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抄録

先天性白血病は小児白血病の稀少なサブグループである。白血病細胞のlineage switchは比較的稀な事象であるが,先天性白血病での報告も散見される。先天性白血病のlineage switch症例は,転帰が示された既報に生存例を認めず,その予後は極めて悪い。症例は日齢0の女児で,MLL-AF4陽性B前駆細胞性急性リンパ性白血病(BCP-ALL)と診断されたが,寛解導入療法後に急性単球性白血病(AMoL)へのlineage switchを生じた。一時的に形態上は寛解となったが,早期再発したため,生後4ヶ月時に非寛解でHLA半合致の父親から骨髄移植を施行した。移植片対宿主病(GVHD),成長障害および精神運動発達遅滞に難渋しているが,移植後3年7ヶ月を経過し,寛解を維持している。本症例ではHLA半合致移植による強力なgraft-versus-leukemia(GVL)効果が示唆される。先天性白血病のlineage switch症例は寛解導入後早期に移植を実施する必要があり,非寛解例においては時期を逸しないHLA半合致移植が有効な選択肢となる可能性がある。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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