臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
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症例報告
自家末梢血幹細胞移植が奏効したK-RAS/N-RAS変異陽性double-refractory myeloma
神保 光児横山 和明小川 弥穂平野 光人越智 清純小林 真之遊佐 希清水 英悟川俣 豊隆安井 寛大野 伸広山口 類井元 清哉古川 洋一宮野 悟今井 陽一東條 有伸
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2017 年 58 巻 12 号 p. 2380-2385

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抄録

Proteasome阻害薬,免疫調節薬の導入により骨髄腫の予後は改善されつつあるが,これらの薬剤への不応例は予後不良である。症例は53歳男性。BJP-λ型骨髄腫,Durie-Salmon III A,ISS stage II,R-ISS stage IIで診断時骨髄よりK-RAS変異,IGH/FGFR3融合遺伝子を検出した。Bortezomib(BTZ),免疫調節薬(lenalidomide,thalidomide,pomalidomide),conventional chemotherapy,局所放射線療法を含む計7レジメンの治療に抵抗性であり,progressive diseaseと判断した。治療後新たにN-RAS変異,CKS1B増幅,C-MYC split signalを検出した。救援療法として大量メルファラン併用自家末梢血幹細胞移植(HD-MEL/ASCT)を行いvery good partial responseを得た。K-RAS変異は予後不良,N-RAS変異はBTZ抵抗性と関連する一方で,RAS変異例はHD-MEL/ASCTに感受性があることも報告されている。本例はK-RASN-RAS変異を同時に有する稀な症例であり,RAS変異が治療抵抗性とHD-MEL/ASCT感受性の双方へ関与していることが示唆された。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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