臨床血液
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症例報告
難治性貧血にalemtuzumabが有効であった大顆粒リンパ球性白血病
飯島 喜美子平尾 理子日野 俊哉鴨田 吉正飯塚 浩光木田 理子半下石 明臼杵 憲祐
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2017 年 58 巻 12 号 p. 2392-2396

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抄録

症例は39歳男性。2011年11月の検診で貧血(Hb 7.9 g/dl)を指摘され,当科受診。末梢血に大顆粒リンパ球(large granular lymphocyte, LGL)を認め,WBC 7,400/µl(LGL 2,272/µl),細胞表面マーカーCD3陽性,CD4陰性,CD8陽性,CD56陰性,TCR-αβ,T細胞受容体遺伝子Cβ1領域に単クローン性の再構成を認め,T細胞性のLGL白血病と診断した。輸血依存性となり,2012年6月からcyclophosphamideを投与して貧血が改善し,2013年3月に中止したが,貧血が再燃したために2014年3月に再開した。長期投与の安全性を懸念し,cyclosporineに変更したが,効果が得られなかった。以後,副腎皮質steroid,methotrexate,pentostatinの投与を行うも輸血依存性の状態が続き,2016年3月までに総赤血球輸血186単位となった。そこで,LGL細胞の細胞表面のCD52発現を確認し,2016年4月から抗CD52モノクローナル抗体であるalemtuzumabを3 mgから漸増して30 mg週3回投与を行ったところ,投与開始1週間後から貧血は改善傾向となり,2週後以降は輸血非依存性化した。5週目にCMV抗原の陽性化を認めたため投与終了とし,ganciclovirで陰性化した。現在まで無治療でHb 12 g/dl以上を維持している。LGL白血病の難治性貧血に対し,免疫抑制剤やそのほかの治療が無効で,alemtuzumabが有効であった症例を経験した。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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