臨床血液
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症例報告
Froin症候群を呈した髄膜浸潤を伴う悪性リンパ腫
佐賀 智之石原 敏道金川 実千代
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2017 年 58 巻 3 号 p. 222-227

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抄録

Froin症候群は,髄液の膠様凝固,蛋白量増加,キサントクロミーという共通の所見を特徴とし,脊髄腫瘍によるクモ膜下腔閉塞や髄膜炎などで認められるが,血液腫瘍での報告はない。今回,Froin症候群を示した悪性リンパ腫髄膜浸潤の2例を経験した。症例1は66歳男性,末梢性T細胞リンパ腫-非特定型の再発に対する化学療法中に意識障害を認めた。症例2は84歳男性,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に対する化学療法中に両下肢の疼痛と麻痺を来した。髄液検査では2例ともFroin症候群を来しており,細胞診でリンパ腫細胞を認めた。著しい蛋白高値に比して細胞数は正常~軽度増加であり,細胞数と病勢は乖離していた。Froin症候群を来した血液腫瘍の報告は自験例が最初だが,異常所見が軽度のものを含めると潜在的な未診断症例が存在する可能性がある。血液腫瘍においても髄液検査に際してFroin症候群を念頭におく必要がある。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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