臨床血液
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臨床研究
単一施設における日本人慢性リンパ性白血病患者の後方視的検討
橋田 里妙小橋 澄子加藤 淳菊池 拓櫻井 政寿外山 高朗甲田 祐也山根 裕介安部 涼平清水 隆之山崎 理絵三ツ橋 雄之村田 満岡本 真一郎森 毅彦
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2017 年 58 巻 4 号 p. 282-286

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抄録

欧米とは異なり我が国では慢性リンパ性白血病(CLL)は稀なリンパ系腫瘍であり,日本人患者における臨床的特徴は明らかにされていない。そこで当院にて診断された初発の日本人CLL患者29例の後方視的解析を行った。診断時の年齢中央値は62歳で,男性が17例(59%)で,診断からの観察期間の中央値は69ヶ月(範囲:3~170ヶ月)で9例が治療介入されていた。経過中3例が死亡し,死因は原病の増悪±感染症2例,皮膚がん1例であった。5年全および無治療生存率は83%(95%CI,46~96%),67%(95%CI,45~81%)であった。治療抵抗例2例は同種造血幹細胞移植が行われ,移植後53ヶ月と110ヶ月の時点で無病生存していた。これらの結果から日本人CLLの経過は欧米のそれと相違がないことが示唆されたが,その特徴および長期経過についてさらに明らかにするためにより多くの症例による解析が必要である。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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