2017 年 58 巻 4 号 p. 287-291
症例は71歳,女性。2014年9月に血尿のため初診し,膀胱炎として加療された。2010年より関節リウマチのためmethotrexate(MTX)とprednisoloneを内服していた。胸腹部CTで膀胱腫瘍の肺および副腎転移が疑われ,経尿道的膀胱腫瘍切除術(transurethral resection of the bladder tumor, TUR-BT)を施行した。膀胱腫瘍の病理組織学的検査では大型の異型リンパ球を認め,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断した。TUR-BT後,10月のCTではMTXを継続していたにも関わらず,膀胱腫瘍とともに認められていた多臓器浸潤の縮小を認めた。MTX-related lymphoproliferative disorders(MTX-LPD)と診断し,11月にMTXを中止したところ腫瘍は縮小し,2015年3月のfluorodeoxyglucose-positron emission tomography(FDG-PET)で完全奏効が得られた。