2017 年 58 巻 6 号 p. 589-594
ALアミロイドーシスは,免疫グロブリン軽鎖が沈着しアミロイド繊維変性する疾患であるが,沈着ペプチドの詳細は不明である。本研究では,65症例のアミロイド病変部の沈着ペプチドを質量分析で詳細に解析した。その結果,全例で免疫グロブリン軽鎖定常領域が検出され,その内訳はκ型が20例,λ型は45例であった。一方,可変領域は一部の症例でのみ検出された。定常領域の頻度はIGLC3,IGKC4が比較的多く検出されたものの,特定のペプチドとアミロイド沈着臓器との関連は見られなかった。軽鎖以外の沈着物としてapolipoproteinやvitronectinが検出された。これらの結果から,ALアミロイドーシスでは様々な免疫グロブリン軽鎖定常領域が沈着していると考えられた。免疫染色と質量分析を同時に施行された症例の検討では,免疫染色の検出率は質量分析の半分程度であり,本疾患の診断には質量分析の活用が望まれる。