臨床血液
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Symposium 7
参照ガイドに基づいた成人特発性血小板減少性紫斑病の治療戦略
冨山 佳昭
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2017 年 58 巻 7 号 p. 843-848

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抄録

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は血小板に対する自己抗体により,脾臓を中心とした網内系での血小板破壊が亢進し血小板減少をきたす自己免疫疾患である。ITPでは血小板破壊亢進がその病態の中心であるが,一方では血小板造血も障害されている。ITPの治療に関して,その治療目標は血小板数を正常に戻すことではなく,重篤な出血を予防しうる血小板数に維持することである。このことは過剰な薬剤の長期投与による患者quality of life(QOL)の低下を憂慮しての判断である。本邦では2010年にヘリコバクター・ピロリ除菌療法が,2011年にトロンボポエチン受容体作動薬が保険適用となり,これら治療法の選択枝の増加に対応し,治療の標準化と治療薬の適正使用を啓発するため,2012年に成人ITP治療の参照ガイド2012版を,2014年に妊娠合併ITP診療の参照ガイドを「血液凝固異常症に関する調査研究」班より公開したので,その内容を中心に概説する。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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