臨床血液
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学会奨励賞受賞論文
日本人小児急性リンパ性白血病におけるNUDT15ABCC4遺伝子多型の6-メルカプトプリン感受性への影響
田中 庸一
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2017 年 58 巻 8 号 p. 950-956

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抄録

6-メルカプトプリン(6-MP)は,小児急性リンパ性白血病の治療において,主要な薬剤の1つであるが,標準的な6-MP投与量に耐えられない患者が存在している。アジア人の6-MP感受性に関連する遺伝子多型として,NUDT15が報告されている。しかし,NUDT15遺伝子多型をヘテロ接合体で持つ患者の6-MP感受性は個人差が大きい。6-MP感受性を精度良く予測するために,6-MP薬物動態を変動させるABCC4遺伝子多型を組み合わせて検討を行った。NUDT15 rs116855232ヘテロ接合体とABCC4 rs3765534多型を共に持つ全ての患者で骨髄抑制が発現し,6-MP投与量を35 mg/m2未満に減量する必要があった。以上より,日本人において6-MP感受性に影響のある遺伝子多型を組み合わせて解析することにより,治療する患者の6-MP感受性を予測し,治療の個別化につながると考えられる。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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