臨床血液
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症例報告
自然経過中にIgH/CCND1転座が付加された慢性リンパ性白血病
新井 康祐高木 文智園川 佐絵子鈴木 さやか伊藤 栄作竹内 賢吾熊谷 隆志
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2018 年 59 巻 1 号 p. 51-57

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抄録

69歳男性。全身リンパ節腫大を主訴に近医を受診した。血液検査にて白血球増多,貧血,血小板減少を指摘され当院紹介。血算はWBC 103,060/µl, lymph 92.2%, Hb8.9 g/dl, Plt4.1×104l)。骨髄検査で有核細胞の70%をCD5(+), CD20(+), CD23(+)の成熟小型リンパ球が占め,慢性リンパ性白血病(CLL)と診断した。末梢血FISHでIgH/CCND1転座20%, ATM座欠失95%を検出し,骨髄有核細胞の免疫染色で約30%にcyclin D1が陽性。Mantle cell lymphomaが鑑別に挙げられたがCCND1融合シグナルの陽性率は低く否定的と考えた。ほぼ全腫瘍細胞にATM座欠失を認めたことから,発症時からATM座欠失を持ち,付加的にIgH/CCND1転座が加わったCLLと考えた。二次的にIgH/CCND1転座が付加したCLLは非常に稀である。現在までの報告例はすべてアルキル化剤治療後であり,本例のように自然経過中に付加した症例は報告されていない。CLLの病態を考える上で興味深いと考えた。

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© 2018 一般社団法人 日本血液学会
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